日本国憲法

日本国憲法 前文
第1章 天皇
第1条 天皇の地位
第2条 皇位の継承
第3条 天皇の国事行為に対する責任
第4条 天皇の機能
第5条 摂政
第6条 天皇の任命権
第7条 国事行為
第8条 皇室の財産授受
第2章 戦争放棄
第9条 戦争放棄、軍備及び交戦権否認
第3章 国民の権利及び義務
第10条 国民の要件
第11条 基本的人権の不可侵
第12条 自由・権利の保持の責任とその濫用の禁止
第13条 個人の尊重
第14条 法の下の平等
第15条 公務員の選定及び罷免の権利、普通選挙と秘密選挙の保障
第16条 請願権
第17条 国及び公共団体の賠償責任
第18条 奴隷的拘束及び苦役からの自由
第19条 思想及び良心の自由
第20条 信教の自由
第21条 集会・結社・表現の自由と通信の秘密
第22条 居住・移転及び職業選択の自由、外国移住及び国籍離脱の自由
第23条 学問の自由
第24条 家族生活における個人の尊厳と両性の平等
第25条 生存権、国の社会的使命
第26条 教育に関する権利と義務
第27条 勤労の権利・義務、労働条件、児童酷使の禁止
第28条 勤労者の団結権
第29条 財産権
第30条 納税の義務
第31条 法定の手続の保障
第32条 裁判を受ける権利
第33条 不当な逮捕をされない権利
第34条 抑留・拘束の禁止
第35条 住居不可侵
第36条 拷問と残虐刑の禁止
第37条 刑事被告人の権利
第38条 自白の証拠能力
第39条 遡及処罰・二重処罰の禁止
第40条 刑事補償
第4章 国会
第41条 国会の地位
第42条 両院制
第43条 両議院の組織
第44条 平等選挙
第45条 衆議院議員の任期
第46条 参議院議員の任期
第47条 選挙に関する事項
第48条 両院議員兼職の禁止
第49条 歳費
第50条 議員の不逮捕特権
第51条 議員の発言・表決の無責任
第52条 常会
第53条 臨時会
第54条 衆議院の解散と総選挙・参議院の緊急集会
第55条 資格争訟の裁判
第56条 定足数・表決
第57条 会議の公開と会議録
第58条 役員選任・議員規則・懲罰
第59条 法律の成立と衆議院の優越
第60条 予算議決と衆議院の優越
第61条 条約の承認と衆議院の優越
第62条 国勢調査権
第63条 閣僚の議院出席
第64条 弾劾裁判所
第5章 内閣
第65条 行政権
第66条 内閣の組織と責任
第67条 内閣総理大臣の使命と衆議院の優越
第68条 国務大臣の任免・罷免
第69条 内閣の総辞職(1)
第70条 内閣の総辞職(2)
第71条 総辞職後の内閣
第72条 内閣総理大臣の職務
第73条 内閣の職務
第74条 法律・政令の署名
第75条 国務大臣の特典
第6章 司法
第76条 司法権及びその行使
第77条 最高裁判所の規則制定権
第78条 裁判官の身分保障
第79条 最高裁判所の裁判官
第80条 下級裁判所の裁判官
第81条 法令審査権
第82条 裁判の公開
第7章 財政
第83条 財政処理の基本原則
第84条 課税
第85条 国費の支出と債務負担
第86条 予算
第87条 予備費
第88条 皇室の財産と費用
第89条 公の財産の利用の制限
第90条 会計検査院
第91条 財政状況の報告
第8章 地方自治
第92条 地方自治の基本原則
第93条 議会の設置及び長・議員の選挙
第94条 地方公共団体の機能
第95条 特別法の住民投票
第9章 改正
第96条 改正の手続
第10章 最高法規
第97条 基本的人権の本質
第98条 最高法規性、条約及び国際法規の遵守
第99条 憲法尊重擁護の義務
第11章 補則
第100条 憲法施行期日、準備手続
第101条 経過規定 ― 参議院未成立の間の国会
第102条 同前 ― 第1期の参議院議員の任期
第103条 同前 ― 公務員の地位
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日本国憲法

                 昭和21年11月3日
              施行 昭和22年 5月3日 (補則)

前文

 日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、 われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが 国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によって 再び戦争の惨禍が起こることのないやうにすることを決意し、ここに 主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国 政は、国民の厳粛な信託によるものであって、その権威は国民に由来 し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれ を享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理 に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔 勅を排除する。

 日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高 な理想を深く自覚するのであって、平和を愛する諸国民の公正と信義 に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、 平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しよう と努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。わ れらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のう ちに生存する権利を有することを確認する。

 われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視 してはならないのであって、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、 この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立た うとする各国の責務であると信ずる。 日本国民は、国家の名誉にか け、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。

第1章 天皇

第1条 天皇の地位

 天皇は、日本国の象徴であり、日本国民統合の象徴であって、この 地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。

第2条 皇位の継承

 皇位は、世襲のものであって、国会の議決した皇室典範の定めると ころにより、これを継承する。

第3条 天皇の国事行為に対する責任

 天皇の国事に関するすべての行為には、内閣の助言と承認を必要と し、内閣が、その責任を負ふ。

第4条 天皇の機能

 (1)天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行ひ、国 政に関する権能を有しない。 (2)天皇は、法律の定めるところに より、その国事に関する行為を委任することができる。

第5条 摂政

 皇室典範の定めるところにより摂政を置くときは、摂政は、天皇の 名でその国事に関する行為を行ふ。この場合には、前条第1項の規定 を準用する。

第6条 天皇の任命権

 (1)天皇は、国会の指名に基いて、内閣総理大臣を任命する。  (2)天皇は、内閣の指名に基いて、最高裁判所の長たる裁判官を任 命する。

第7条 国事行為

 天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関す る行為を行ふ。 1 憲法改正、法律、政令及び条約を公布すること。  2 国会を召集すること。 3 衆議院を解散すること。 4 国 会議員の総選挙の施行を公示すること。 5 国務大臣及び法律の定 めるその他の官吏の任免並びに全権委任状及び大使及び公使の信任状 を認証すること。 6 大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権 を認証すること。 7 栄典を授与すること。 8 批准書及び法律 の定めるところその他の外交文書を認証すること。 9 外国の大使 及び公使を接受すること。 10 儀式を行ふこと。

第8条 皇室の財産授受

 皇室に財産を譲り渡し、または皇室が、財産を譲り受け、若しくは 賜与することは、国会の議決に基かなけらばならない。

第2章 戦争放棄

第9条 戦争放棄、軍備及び交戦権否認

 (1)日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求 し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇叉は武力の行使は、国際 紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。 (2)前項 の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。 国の交戦権は、これを認めない。

第3章 国民の権利及び義務

第10条 国民の要件

 日本国民たる要件は、法律でこれを定める。

第11条 基本的人権の不可侵

 国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国 民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、 現在及び将来の国民に与へられる。

第12条 自由・権利の保持の責任とその濫用の禁止

 この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によっ て、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用しては ならないのであって、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を 負ふ。

第13条 個人の尊重

 すべての国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求 に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法そ の他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

第14条 法の下の平等

 (1)すべての国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、 社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、 差別されない。 (2)華族その他の貴族の制度は、これを認めない。  (3)栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴はない。 栄典の授与は、現にこれを有し、又は将来これを受ける者の一代に限 り、その効力を有する。

第15条 公務員の選定及び罷免の権利、普通選挙と秘密選挙の保障

 (1)公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権 利である。 (2)すべての公務員は、全体の奉仕者であって、一部 の奉仕者ではない。 (3)公務員の選挙については、成年者による 普通選挙を保障する。 (4)すべての選挙における投票の秘密は、 これを侵してはならない。選挙人は、その選択に関し公的にも私的に も責任を問はれない。

第16条 請願権

 何人も、損害の救済、公務員の罷免、法律、命令又は規則の制定、 廃止又は改正その他の事項に関し、平穏に請願する権利を有し、何人 とも、かかる請願をしたためにいかなる差別待遇も受けない。

第17条 国及び公共団体の賠償責任

 何人も、公務員の不法行為により、損害を受けたときは、法律の定 めるところにより、国又は公共団体に、その賠償を求めることができ る。

第18条 奴隷的拘束及び苦役からの自由

 何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない。又、犯罪に因る処罰の場 合を除いては、その意に反する苦役に服させられない。

第19条 思想及び良心の自由

 思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。

第20条 信教の自由

 (1)信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗 教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならな い。 (2)何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加する ことは強制されない。 (3)国及びその機関は、宗教教育その他い かなる宗教活動もしてはならない。

第21条 集会・結社・表現の自由と通信の秘密

 (1)集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これ を保障する。 (2)検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、 これを侵してはならない。

第22条 居住・移転及び職業選択の自由、外国移住及び国籍離脱の自由

 (1)何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選 択の自由を有する。 (2)何人も、外国に移住し、又は国籍を離脱 する自由を侵されない。

第23条 学問の自由

 学問の自由は、これを保障する。

第24条 家族生活における個人の尊厳と両性の平等

 (1)婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利 を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければな らない。 (2)配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並 びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の 尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。

第25条 生存権、国の社会的使命

 (1)すべての国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利 を有する。 (2)国は、すべての生活部面について、社会福祉、社 会保障及び公共衛生の向上及び増進に努めなければならない。

第26条 教育に関する権利と義務

 (1)すべての国民は、法律の定めるところにより、その能力に応 じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。 (2)すべての国民は、 法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせ る義務を負ふ。義務教育は、これを無償とする。

第27条 勤労の権利・義務、労働条件、児童酷使の禁止

 (1)すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負ふ。 (2)賃 金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを 定める。 (3)児童は、これを酷使してはならない。

第28条 勤労者の団結権

 勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、 これを保障する。

第29条 財産権

 (1)財産権は、これを侵してはならない。 (2)財産権の内容 は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。 (3)私 有財産は、正当な保障の下に、これを公共のために用ひることができ る。

第30条 納税の義務

 国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負ふ。

第31条 法定の手続の保障

 何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由 を奪われ、又はその他の刑罰を科せられない。

第32条 裁判を受ける権利

 何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪はれない。

第33条 不当な逮捕をされない権利

 何人も、現行犯として逮捕される場合を除いては、権限を有する司 法官憲が発し、且つ理由となってゐる犯罪を明示する令状によらなけ れば、逮捕されない。

第34条 抑留・拘束の禁止

 何人も、理由を直ちに告げられ、且つ、直ちに弁護士に依頼する権 利を与へられなければ、抑留又は拘禁されない。又、何人も、正当な 理由がなければ、拘禁されず、要求があれば、その理由は、直ちに本 人及びその弁護人の出席する公開の法廷で示されなければならない。

第35条 住居不可侵

 (1)何人も、その住居、書類及び所持品について、侵入、捜索及 び押収を受けることのない権利は、第33条の場合を除いては、正当 な理由に基いておいて発せられ、且つ捜索する場所及び押収する物を 明示する令状がなければ、侵されない。 (2)捜索又は押収は、権 限を有する司法官憲が発する各別の令状により、これを行ふ。

第36条 拷問と残虐刑の禁止

 公務員による拷問及び残虐な刑罰は、絶対にこれを禁ずる。

第37条 刑事被告人の権利

 (1)すべての刑事事件においては、被告人は、公平な裁判所の迅 速な公開裁判を受ける権利を有する。 (2)刑事被告人は、すべて の証人に対して審問する機会を充分に与へられ、又、公費で自己のた めに強制的手続により証人を求める権利を有する。 (3)刑事被告 人は、いかなる場合にも、資格を有する弁護人を依頼することができ る。被告人が自らこれを依頼することができないときは、国でこれを 附する。

第38条 自白の証拠能力

 (1)何人も、自己に不利益な供述を強要されない。 (2)強制、 拷問若しくは脅迫による自白又は不当に長く抑留若しくは拘禁された 後の自白は、これを証拠とすることができない。 (3)何人も、自 己に不利益な唯一の証拠が本人の自白である場合には、有罪とされ、 又は刑罰を科せられない。

第39条 遡及処罰・二重処罰の禁止

 何人も、実行の時に適法であった行為又は既に無罪とされた行為に ついては、刑事上の責任を問はれない。又、同一の犯罪について、重 ねて刑事上の責任を問はれない。

第40条 刑事補償

 何人も、抑留又は拘禁された後、無罪の裁判を受けたときは、法律 の定めるところにより、国にその補償を求めることができる。

第4章 国会

第41条 国会の地位

 国会は、国権の最高機関であって、国の唯一の立法機関である。

第42条 両院制

 国会は、衆議院及び参議院の両議院でこれを構成する。

第43条 両議院の組織

 (1)両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織す る。 (2)両議院の議員の定数は、法律でこれを定める。

第44条 平等選挙

 両議院の議員及びその選挙人の資格は、法律でこれを定める。但し、 人権、信条、性別、社会的身分、門地、教育、財産又は収入によって 差別してはならない。

第45条 衆議院議員の任期

 衆議院議員の任期は、4年とする。但し、衆議院解散の場合には、 その期間満了前に終了する。

第46条 参議院議員の任期

 参議院議員の任期は、6年とし、3年ごとに議員の半数を改選する。

第47条 選挙に関する事項

 選挙区、投票の方法その他両議院の議員の選挙に関する事項は、法 律でこれを定める。

第48条 両院議員兼職の禁止

 何人も、同時に両議院の議員たることはできない。

第49条 歳費

 両議院の議員は、法律の定めるところにより、国庫から相当額の歳 費を受ける。

第50条 議員の不逮捕特権

 両議院の議員は、法律の定める場合を除いては、国会の会期中に逮 捕されず、会期前に逮捕された議員は、その議院の要求があれば、会 期中これを釈放しなければならない。

第51条 議員の発言・表決の無責任

 両議院の議員は、議院で行なった演説、討論又は表決について、院 外で責任を問はれない。

第52条 常会

 国会の常会は、毎年1回これを召集する。

第53条 臨時会

 内閣は、国会の臨時会の召集を決定することができる。いづれかの 議院の総議員の4分の1以上の要求があれば、内閣は、その召集を決 定しなければならない。

第54条 衆議院の解散と総選挙・参議院の緊急集会

 (1)衆議院が解散されたときは、解散の日から40日以内に、衆 議院議員の総選挙を行ひ、その選挙の日から30日以内に、国会を召 集しなければならない。 (2)衆議院が解散されたときは、参議院 は、同時に閉会となる。但し、内閣は、国に緊急の必要があるときは、 参議院の緊急集会を求めることができる。 (3)前項但書きの緊急 集会において採られた措置は、臨時のものであって、次の国会開会の 後10日以内に、衆議院の同意がない場合には、その効力を失う。

第55条 資格争訟の裁判

 両議院は、各々その議院の資格に関する争訟を裁判する。但し、議 員の議席を失はせるには、出席議員の3分の2以上の多数による議決 を必要とする。

第56条 定足数・表決

 (1)両議院は、各々その総議員の3分の1以上の出席がなければ、 議事を開き議決することができない。 (2)両議院の議事は、この 憲法に特別の定のある場合を除いては、出席議員の過半数でこれを決 し、可否同数ときは、議長の決するところによる。

第57条 会議の公開と会議録

 (1)両議院の会議は、公開とする。但し、出席議員の3分の2以 上の多数で可決したときは、秘密会を開くことができる。 (2)両 議院は、各々その会議の記録を保存し、秘密会の記録の中で特に秘密 を要すると認められるもの以外は、これを公表し、且つ一般に頒布し なければならない。 (3)出席議員の5分の1以上の要求があれば、 各議員の表決は、これを会議録に記載しなければならない。

第58条 役員選任・議員規則・懲罰

 (1)両議院は、各々その議長その他の役員を選任する。 (2) 両議院は、各々その会議その他の手続及び内部の規律に関する規則を 定め、又、院内の秩序をみだした議員を懲罰することができる。但し、 議員を除名するには、出席議員の3分の2以上の多数による議決を必 要とする。

第59条 法律の成立と衆議院の優越

 (1)法律案は、この憲法で特別の定のある場合を除いては、両議 院で可決したとき法律となる。 (2)衆議院で可決し、参議院でこ れと異なった議決をした法律案は、衆議院議員で出席議員の3分の2 以上の多数で再び可決したときは、法律となる。 (3)前項の規定 は、法律の定めるところにより、衆議院が、両議院の協議会を開くこ とを求めることを妨げない。 (4)参議院が、衆議院の可決した法 律案を受け取った後、国会休会中の期間を除いて60日以内に、議決 しないときは、衆議院は、参議院がその法律を否決したものとみなす ことができる。

第60条 予算議決と衆議院の優越

 (1)予算は、さきに衆議院に提出しなければならない。 (2) 予算について、参議院で衆議院と異なった議決をした場合に、法律の 定めるところにより、両議院の協議会を開いても意見が一致しないと き、又は参議院が、衆議院の可決した予算を受け取った後、国会休会 中の期間を除いて30日以内に、議決しないときは、衆議院の議決を 国会の議決とする。

第61条 条約の承認と衆議院の優越

 条約の締結に必要な国会の承認については、前条第2項の規定を準 用する。

第62条 国勢調査権

 両議院は、各々国政に関する調査を行ひ、これに関して、証人の出 頭及び証言並びに記録の提出を要求することができる。

第63条 閣僚の議院出席

 内閣総理大臣その他の国務大臣は、両議院の一に議席を有すると有 しないとにかかはらず、何時でも議案について発言するため議院に出 席することができる。又、答弁又は説明のために出席を求められたと きは、出席しなければならない。

第64条 弾劾裁判所

 (1)国会は、罷免の訴追を受けた裁判官を裁判するため、両議院 の議員で組織する弾劾裁判所を設ける。 (2)弾劾に関する事項は、 法律でこれを定める。

第5章 内閣

第65条 行政権

 行政権は、内閣に属する。

第66条 内閣の組織と責任

 (1)内閣は、法律の定めるところにより、その首長たる内閣総理 大臣及びその他の国務大臣でこれを組織する。 (2)内閣総理大臣 その他の国務大臣は、文民でなければならない。 (3)内閣は、行 政権の行使について、国会に対し連帯して責任を負ふ。

第67条 内閣総理大臣の使命と衆議院の優越

 (1)内閣総理大臣は、国会議員の中から国会の議決で、これを指 名する。この指名は、他のすべての案件に先だって、これを行ふ。  (2)衆議院と参議院とが異なった指名の議決をした場合に、法律の 定めるところにより、両議院の協議会を開いても意見が一致しないと き、又は衆議院が指名をした後、国会休会中の期間を除いて10日以 内に、参議院が、指名の議決をしないときは、衆議院の議決を国会の 議決とする。

第68条 国務大臣の任免・罷免

 (1)内閣総理大臣は、国務大臣を任命する。但し、その過半数は、 国会議員の中から選ばれなければならない。 (2)内閣総理大臣は、 任意に国務大臣を罷免することができる。

第69条 内閣の総辞職(1)

 内閣は、衆議院で不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否 決したときは、10日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職をし なければならない。

第70条 内閣の総辞職(2)

 内閣総理大臣が欠けたとき、又は衆議院議員総選挙の後に初めて国 会の召集があったときは、内閣は、総辞職しなければならない。

第71条 総辞職後の内閣

 前2条の場合には、内閣は、あらたに内閣総理大臣が任命されるま で引き続きその職務を行ふ。

第72条 内閣総理大臣の職務

 内閣総理大臣は、内閣を代表して議案を国会に提出し、一般国務及 び外交関係について国会に報告し、並びに行政各部を指揮監督する。

第73条 内閣の職務

 内閣は、他の一般行政事務の外、左の事務を行ふ。 1 法律を誠 実に執行し、国務を総理すること。 2 外交関係を処理すること。  3 条約を締結すること。但し、事前に、時宜によっては事後に、 国会の承認を経ることを必要とする。 4 法律の定める基準に従ひ、 官吏に関する事務を掌理すること。 5 予算を作成して国会に提出 すること。 6 この憲法及び法律の規定を実施するために、政令を 制定すること。但し、政令には、特にその法律の委任がある場合を除 いては、罰則を設けることができない。 7 大赦、特赦、減刑、刑 の執行の免除及び復権を決定すること。

第74条 法律・政令の署名

 法律及び政令には、すべて主任の国務大臣が署名し、内閣総理大臣 が連署することを必要とする。

第75条 国務大臣の特典

 国務大臣は、その在任中、内閣総理大臣の同意がなければ、訴追さ れない。但し、これがため、訴追の権利は、害されない。

第6章 司法

第76条 司法権及びその行使

 (1)すべて司法権は、最高裁判所及び法律の定めるところにより 設置する下級裁判所に属する。 (2)特別裁判所は、これを設置す ることができない。行政機関は、終審として裁判を行ふことができな い。 (3)すべての裁判官は、その良心に従ひ独立してその職務を 行ひ、この憲法及び法律にのみ拘束される。

第77条 最高裁判所の規則制定権

 (1)最高裁判所は、訴訟に関する手続、弁護士、裁判所の内部規 律及び司法事務処理に関する事項について、規則を定める権限を有す る。 (2)検察官は、最高裁判所の定める規則に従はなければなら ない。 (3)最高裁判所は、下級裁判所に関する規則を定める権限 を、下級裁判所に委任することができる。

第78条 裁判官の身分保障

 裁判官は、裁判により、心身の故障のために職務を執ることができ ないと決定された場合を除いては、公の弾劾によらなければ罷免され ない。裁判官の懲戒処分は、行政機関がこれを行ふことはできない。

第79条 最高裁判所の裁判官

 (1)最高裁判所は、その長たる裁判官及び法律の定める員数のそ の他の裁判官でこれを構成し、その長たる裁判官以外の裁判官は、内 閣でこれを任命する。 (2)最高裁判所の裁判官の任命は、その任 命後初めて行はれる衆議院議員総選挙の際国民の審査に付し、その後 10年を経過した後初めて行はれる衆議院議員総選挙の際更に審査に 付し、その後も同様とする。 (3)前項の場合において、投票者の 多数が裁判官の罷免を可とするときは、その裁判官は、罷免される。  (4)審査に関する事項は、法律でこれを定める。 (5)最高裁 判所の裁判官は、法律の定める年齢に達した時に退官する。 (6) 最高裁判所の裁判官は、すべて定期に相当額の報酬を受ける。この報 酬は、在任中、これを減額することができない。

第80条 下級裁判所の裁判官

 (1)下級裁判所の裁判官は、最高裁判所の指名した者の名簿によっ て、内閣でこれを任命する。その裁判官は、任期を10年とし、再任 されることができる。但し、法律に定める年齢に達した時には退官す る。 (2)下級裁判所の裁判官は、すべて定期に相当額の報酬を受 ける。この報酬は、在任中、これを減額することができない。

第81条 法令審査権

 最高裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が法律に適合する かしないかを決定する権限を有する終審裁判所である。

第82条 裁判の公開

 (1)裁判の対審及び判決は、公開法廷でこれを行ふ。 (2)裁 判所が、裁判官の全員一致で、公の秩序又は善良の風俗を害する虞が あると決した場合には、対審は、公開しないでこれを行ふことができ る。但し、政治犯罪、出版に関する犯罪又はこの憲法第3章で保障す る国民の権利が問題になってゐる事件の対審は、常にこれを公開しな ければならない。

第7章 財政

第83条 財政処理の基本原則

 国の財政を処理する権限は、国会の議決に基づいて、これを行使し なければならない。

第84条 課税

 あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、法律又は法 律の定める条件によることを必要とする。

第85条 国費の支出と債務負担

 国費を支出し、又は国が債務を負担するには、国会の議決に基づく ことを必要とする。

第86条 予算

 内閣は、毎会計年度の予算を作成し、国会に提出して、その審議を 受け議決を経なければならない。

第87条 予備費

 (1)予見し難い予算の不足に充てるため、国会の議決に基づいて 予備費を設け、内閣の責任でこれを支出することができる。 (2) すべて予備費の支出については、内閣は、事後に国会の承諾を得なけ ればならない。

第88条 皇室の財産と費用

 すべて皇室財産は、国に属する。すべて皇室の費用は、予算に計上 して国会の議決を経なければならない。

第89条 公の財産の利用の制限

 公金その他の公の財産は、宗教上の組織若しくは団体の使用、便益 若しくは維持のため、又は公の支配に属さない慈善、教育若しくは博 愛の事業に対し、これを支出し、又はその利用に供してはならない。

第90条 会計検査院

 (1)国の収入支出の決算は、すべて毎年会計検査院がこれを検査 し、内閣は、次の年度に、その検査報告とともに、これを国会に提出 しなければならない。 (2)会計検査院の組織及び権限は、法律で これを定める。

第91条 財政状況の報告

 内閣は、国会及び国民に対し、定期に、少なくとも毎年1回、国の 財政状況について報告しなければならない。

第8章 地方自治

第92条 地方自治の基本原則

 地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基 づいて、法律でこれを定める。

第93条 議会の設置及び長・議員の選挙

 (1)地方公共団体には、法律の定めるところにより、その議事機 関として議会を設置する。 (2)地方公共団体の長、その議会の議 員及び法律の定めるその他の吏員は、その地方公共団体の住民が、直 接これを選挙する。

第94条 地方公共団体の機能

 地方公共団体は、その財産を管理し、事務を処理し、及び行政を執 行する機能を有し、法律の範囲内で条例を制定することができる。

第95条 特別法の住民投票

 一の地方公共団体のみに適用される特別法は、法律の定めるところ により、その地方公共団体の住民の投票においてその過半数の同意を 得なければ、国会は、これを制定することができない。

第9章 改正

第96条 改正の手続

 (1)この憲法の改正は、各議院の総議員の3分の2以上の賛成で、 国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならな い。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれ る投票において、その過半数の賛成を必要とする。 (2)憲法改正 について前項の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、この憲法と 一体を成すものとして、直ちにこれを公布する。

第10章 最高法規

第97条 基本的人権の本質

 この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる 自由獲得の努力の成果であって、これらの権利は、過去幾多の試練に 堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利と して信託されたものである。

第98条 最高法規性、条約及び国際法規の遵守

 (1)この憲法は、国の最高法規であって、その条規に反する法律、 命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効 力を有しない。 (2)日本国が締結した条約及び確立された国際法 規は、これを誠実に遵守することを必要とする。

第99条 憲法尊重擁護の義務

 天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、 この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。

第11章 補則

第100条 憲法施行期日、準備手続

 (1)この憲法は、公布の日から起算して6箇月を経過した日(昭 和22年5月3日)から、これを施行する。 (2)この憲法を施行 するために必要な法律の制定、参議院議員の選挙及び国会召集の手続 並びにこの憲法を施行するために必要な準備手続は、前項の期日より も前に、これを行ふことができる。

第101条 経過規定 ― 参議院未成立の間の国会

 この憲法施行の際、参議院がまだ成立してゐないときは、その成立 するまでの間、衆議院は、国会としての権限を行ふ。

第102条 同前 ― 第1期の参議院議員の任期

 この憲法による第1期の参議院議員のうち、その半数の者の任期は、 これを3年とする。その議員は、法律の定めるところにより、これを 定める。

第103条 同前 ― 公務員の地位

 この憲法施行の際現に在職する国務大臣、衆議院議員及び裁判官並 びにその他の公務員で、その地位に相応する地位がこの憲法で認めら れていゐる者は、法律で特別の定をした場合を除いては、この憲法施 行のため、当然にはその地位を失ふことはない。但し、この憲法によっ て、後任者が選挙又は任命されたときは、当然その地位を失ふ。

日本国憲法

                昭和21年11月3日
             施行 昭和22年 5月3日 (補則)

 朕は、日本国民の総意に基いて、新日本建設の礎が、定まるに至っ たことを、深くよろこび、枢密顧問の諮詢及び帝国憲法第73条によ る帝国議会の議決を経た帝国憲法の改正を裁可し、ここにこれを公布 せしめる。

              御名御璽   昭和21年11月3日


              内閣総理大臣兼     吉田  茂
              外 務 大 臣
              国 務 大 臣  男爵 幣原喜重郎
              司 法 大 臣     木村篤太郎
              内 務 大 臣     大村 清一
              文 部 大 臣     田中耕太郎
              農 林 大 臣     和田 博雄
              国 務 大 臣     斎藤 隆夫
              逓 信 大 臣     一松 定吉
              商 工 大 臣     星島 二郎
              厚 生 大 臣     河合 良成
              国 務 大 臣     植原悦二郎
              運 輸 大 臣     平塚常次郎
              大 蔵 大 臣     石橋 湛山
              国 務 大 臣     金森徳次郎
              国 務 大 臣     膳 桂之助

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